ヨーロッパのルネサンス期に描かれた壁画や天井画を目にする人々は、その壮大な目の前の光景に圧倒されてしまうのは当時の人々と同じく現代を生きる私たちも然りのようです。ミケランジェロが手掛けた大作天井「天地創造」はルネサンス美術を語るうえでは主役級の作品でもあり、その存在は唯一無二とされております。これだけの偉業を個人で成し遂げることができるものなのかと詩人ゲーテも生前に、彼の創作活動の圧倒的な存在感を言葉に残しているようです。さらにはルネサンス期以前の古代の人々が成し得た功績を目にしますと、彼らが当時、手掛けた建築物や美術品の数々に費やした労力と時間を想像しますと、現代を生きる私たちの働きぶりや創作活動の曖昧さを思う次第でもあります。