絵画は額装した状態で見るのが正しいのでしょうか。ミケランジェロは、自分で額装をデザインしました。またジョルジョ・ヴァザーリは、素描や版画の周囲に枠取りをしているそうです。ゴッホは額縁に納めないと絵を完成することはできないと弟のテオへ手紙をしたためています。クリムトは自らデザインした額縁を彫金師の弟に作らせたそうです。現代美術の父・マルセル・デユシャンは、大作大ガラスの周囲に木あるいはスチールの額縁を施さないと作品を自立させることはできませんでした。ドイツの哲学者、カントは額縁を彫像の衣服などとともに付加物として論じています。また、フランスの詩人ボードレールは額縁という詩の中で、額縁を女性にとっての宝石や家具にたとえています。ジャックデリダは、絵画と額縁との関係を読み解こうとしているそうです。